カナダのElemental Royalty Corporationは配当方針の導入を発表し、株主に対して
法定通貨(フィアット)だけでなく、Tether Gold(XAU₮ / XAUT)でも配当を受け取れる選択肢を提示した。
XAU₮は物理的な金(ゴールド)に裏付けられたデジタル資産であり、同社はこの取り組みを、上場企業としては
業界初のケースとして位置づけている。金価格に連動した配当を実現しつつ、デジタル決済の利便性を維持できる点が特徴だ。
重要ポイント
- 株主の選択: フィアットではなくXAU₮で配当を受け取るオプション(対象は「qualifying registered shareholders」。国・地域の規制により制限あり)。
- 配当方針: 予想年間配当は1株あたり0.12米ドル、四半期ごとに0.03米ドルを支払う想定。
- 時期: 初回の権利確定日(record date)は2026年Q1末を予定。
- 狙い: XAU₮での配当は、単なる現金受け取りではなく、デジタル形式で金へのエクスポージャーを提供する。
- 背景: RWA(実世界資産)とトークン化ゴールド市場が拡大。主要銘柄はXAU₮とPAXG。
会社が発表した内容
配当方針
取締役会は配当方針を承認し、同社は普通株1株あたり年間0.12米ドルの配当を宣言することを想定している。
支払いは均等に分割され、四半期ごとに0.03米ドルを支払う計画だ。初回の権利確定日(record date)は
2026年の第1暦四半期末に設定される見込みで、その後は各四半期末に設定される予定としている。
XAU₮での配当オプション
標準的なフィアット支払いに加え、一部の条件を満たす登録株主(qualifying registered shareholders)は、
現金配当を配当額と同等(“par”)の価値でTether Gold(XAU₮)の購入に充当する形を選択できるという。
選択手続きの詳細は、関連する日程の正式発表が近づいた段階で別途案内される予定だ。
市場にとっての意味
従来、金関連企業の投資家は配当をフィアットで受け取り、その後に金を買うかどうかを自分で判断してきた。
XAU₮の仕組みはこの流れを変える。配当を現金ではなく、金価格に連動する資産として受け取れるため、金へのエクスポージャーを
維持したい株主にとって魅力的になり得る。また、デジタルでの保管や移転が可能な点も利便性の一部だ。
Tether Gold(XAU₮)とは何か
XAU₮は金に裏付けられたトークンで、発行体の説明では
「1トークン=1トロイオンス」の物理的な金(London Good Delivery規格の金地金)に連動する。
トークンはEthereum(ERC-20)およびTRON(TRC-20)上で利用でき、保有者はウォレットで保管し、
オンチェーンで送金し、必要に応じて暗号資産市場のインフラで交換できる。
報告されているデータによれば、XAU₮を裏付けるTetherの金準備はカストディアン保管分で520,089トロイオンスとされる。
こうした背景から、XAU₮はトークン化ゴールド分野で取引量・供給の両面で主導的な地位を維持している。
ElementalとTetherの関係
今回のXAU₮配当オプションは、Tetherが以前にElementalへ重要な持分投資を行った流れの延長線上にある。
その文脈では、本件はRWA(実世界資産)領域でのプレゼンス強化の一部とも捉えられ、トークン化された貴金属は
伝統的市場とオンチェーン基盤をつなぐ分かりやすい橋渡しになっている。
トークン化ゴールド市場:なぜ拡大しているのか
トークン化ゴールド市場は急速に拡大しており、総時価総額は50億ドルを超えている。
カテゴリーの中心はXAU₮とPAX Gold(PAXG)で、PAXGは第2位で時価総額は約22.6億ドルとされる。
成長の主因は、伝統的な仲介者を介さずに金へのアクセスを求める個人投資家の需要と、資産保有のデジタル化という大きな流れだ。
投資家が注目すべき点
期待できるメリット
- 金への連動: 配当がフィアット金額だけでなく、金価格の動きに連動し得る。
- デジタル流動性: 暗号資産インフラで保管・送金が可能。
- 柔軟性: 国際投資家やデジタル資産を含むポートフォリオにとって利便性が高い可能性。
リスクと制約
- 規制面: XAU₮オプションは国や口座形態によって利用できない場合がある。
- 税務・報告: デジタル資産で配当を受け取る場合、税務や会計処理が複雑になる可能性がある。
- インフラ/カストディ: 保管方法、償還(redemption)条件、発行体の運用ルールが重要。
主要データ(表は1つ)
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 想定年間配当 | 0.12米ドル / 株 |
| 想定四半期配当 | 0.03米ドル / 株 |
| 初回の権利確定日(record date) | 2026年Q1末(想定) |
| 支払いオプション | フィアット または XAU₮(Tether Gold)(対象者のみ) |
| トークン化ゴールド市場の規模 | > 50億ドル |
| Tetherの金準備(XAU₮裏付け) | 520,089 トロイオンス |
| PAXG(第2位) | 時価総額 約22.6億ドル |
今後の見通し
次のステップは、配当の詳細、重要日程、そして対象となる登録株主がフィアットの代わりにXAU₮を選択するための手続き方法を示す
公式通知の公表だ。仕組みが支持を得れば、商品(コモディティ)セクターの他の上場企業にとっても、基礎資産への連動と
デジタル決済の利点を両立させる新しい配当テンプレートになり得る。