ネットワーク難易度が過去4年で最大となる11%低下、ビットコイン・マイナーが再び活発化

ビットコインのマイニング難易度が大きく低下したことを受け、マイナーの活動が再び活発になっている。
今回の調整は過去4年で最大規模で、難易度は 11.16% 低下。
その後の3日間でネットワークの計算能力は 10% 以上増加し、
再び 1,000 EH/s(エクサハッシュ/秒)の水準を上回った。

Cloverpool2月10日 時点のデータによれば、世界平均ハッシュレート
(ビットコインの採掘に投入されている機器の総計算能力)は約 1,040 EH/s
これは、難易度の再計算が行われた 2月7日 の直前に観測されていた 901 EH/s から大きく増えている。
つまり、プロトコルの数学的条件が「少し緩んだ」直後に、一定数のマイナーがネットワークへ戻ってきた形だ。

主要数値と直近の動き

指標 数値 補足
難易度の変化 -11.16% 2021年夏以来の大幅低下
再計算前のハッシュレート(2月7日) 901 EH/s 難易度調整前の水準
低下後のハッシュレート(2月10日) 約1,040 EH/s 3日で+10%超、再び1,000 EH/s超
次回の難易度調整(予想) 約+4.6% ハッシュレート回復を受け、2月20日深夜が有力
Bitcoin Hashprice Index(最安値) $27.9 再計算前日に過去最低を更新
Bitcoin Hashprice Index(2月10日) 約$35 1月平均(約$40)を下回る

難易度が下がった理由と、その意味

今回の 11.16% 低下は、2021年夏以来の大きさとなった。
当時は 中国 における暗号資産関連活動の禁止が影響し、難易度が 27% も低下した。
今回はそこまで極端ではないものの、直近数年の中では異例の規模だ。

直前の難易度低下の主因として挙げられるのは、稼働するマイナー数の減少である。
ビットコイン価格が下落すると採算が悪化し、電力・保守・物流などのコストを抱えたまま、
単位ハッシュレート当たりの収益が低下する。その結果、採算ライン付近の事業者が設備を停止したり、出力を落としたりする。

さらに、米国 での厳しい寒波もマイニング事業者に追加の圧力をかけた。
寒波の局面では電力網が逼迫しやすく、需要調整(デマンドレスポンス)に参加している企業などは、
消費電力を下げるために一時的にマイニングを制限することがある。ピーク料金の回避という事情も重なる。

なぜマイナーはすぐ戻ったのか

仕組みはシンプルだ。難易度が下がると、他の条件が同じであれば、単位ハッシュレート当たりの期待収益が改善しやすい。
そのため、採算ギリギリで停止していた事業者が再びネットワークへ戻るきっかけになる。

3日で 10% 超のハッシュレート回復は典型的な反応と言える。
停止していたリグを再稼働させる動き、相対的な収益性の変化によるビットコイン側への計算資源の再配分、
そして電力制約の終了など、複数の要因が重なって短期間での反発につながる。

Hashprice Indexとは何か、なぜ重要なのか

採算性を測る指標のひとつである Bitcoin Hashprice Index は、難易度再計算の前日に過去最低を更新し、
$27.9 まで低下した。2月10日 時点では $35 付近で推移しているが、
それでも 1月平均(約$40) を下回っている。

この指数は、米国企業 Luxor が開発したもので、単位計算能力あたりの1日当たり収益を概算するために用いられる。
通常、$/PH/s/日(ペタハッシュ/秒あたり・1日)という形で表示される。

ただし重要な注意点として、これはあくまで平均的な値であり、地域ごとのコスト差
(電力価格、料金体系、気候、物流など)を反映しない。
それでも「市場の温度計」としては有用で、マイニング産業全体にかかる圧力が強まっているのか、緩んでいるのかを把握しやすい。

用語 簡単な説明 重要な理由
ハッシュレート ネットワークを支える総計算能力 競争の度合いとネットワークの強度を示す
難易度 ブロック生成ペースを安定させるために採掘の難しさを調整する値 同じ設備でも期待収益が変わる
Hashprice Index 単位ハッシュレート当たりの平均収益($/PH/s/日) マイナーへの圧力の増減を素早く把握できる

今後の見通し:難易度は再び上昇する可能性

ネットワークの計算能力が急回復していることから、次回の難易度調整では反動が起きる可能性がある。
現時点では難易度が 約4.6% 上昇すると見込まれており、時期としては 2月20日深夜 が有力とされる。

実務的には、難易度低下が採算ライン付近のマイナーを呼び戻し、続く難易度上昇がその短期的な救済を一部打ち消す、という循環になりやすい。
そのため市場は難易度だけでなく、ビットコイン価格、オンチェーン手数料、電力コスト、ハッシュレート競争といった周辺要因も合わせて注視する。

マイナーへの圧力と保有BTCの売却

採算が悪化すると、マイニング企業は運営費を賄うために保有BTCの一部を売却せざるを得ない場合がある。
電力、保守、拠点賃料、債務返済、設備更新など、固定的な支出があるためだ。
こうした局面では、業界がネット売り手になり、市場では「マイナーの売り圧力」として意識されやすい。

直近1週間では、大手の MARACango が保有分の一部売却を発表した。
こうした時期、投資家は Hashprice の安定化、ハッシュレートが高水準で維持されるか、
そして市場が追加供給をどれほどの速さで吸収するかを注意深く見守ることになる。

この状況が市場に意味すること

要因 起きていること 考えられる影響
難易度が大きく低下 競争環境が緩み、採掘が相対的に「楽」になる マイナーが戻り、ハッシュレートが上昇
ハッシュレートが回復 ネットワークが再び1,000 EH/s超へ 次回調整で難易度が上がる可能性
Hashpriceが低水準 約$35は1月平均を下回る 運営費のためのBTC売却インセンティブが強まる

全体としては、難易度低下が短期的な救済となりハッシュレートの一部回復を促した一方で、
Hashpriceが低い状態が続く限り、マイナーへの圧力は残り、保有BTCの売却につながる可能性がある。
ハッシュレートが高水準を維持すれば、次回の難易度再計算は難易度を引き上げ、競争圧力の一部が戻ってくる展開が想定される。

14.02.2026, 14:43
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